教育

心理学分野

社会心理学領域

社会心理学は、人間の社会的行動に関する心理学的法則を探求します。研究テーマは、自己認知や自己評価、対人認知、社会的推論、感情、対人行動、人間関係、集団、健康と幸福、文化といった広範囲にわたっています。研究では、実験や調査、面接、観察などの多様な方法を駆使して、人間の複雑な社会的行動の解明を目指します。

社会心理学領域にはどんな授業があるの?

※授業の内容は一例です。今後変更される可能性もあります。

実践演習(心理学実験a)では、エビデンスレベルの最も高い研究法である実験法について、認知心理学の代表的な実験課題に取り組むことによって体験的に学習します。

実践演習(心理学質問紙調査法)では、社会心理学を研究するための質問紙調査実習を行います。因子分析、重回帰分析、共分散構造分析、媒介分析などの調査研究に不可欠な技法を、調査実習のなかで学びます。

先輩たちはどんな研究をしているの?

  • 自己視点と他者視点におけるサバイバル処理効果の検討
  • 時間的態度・時間的頻度・時間的志向性が抑うつ傾向に及ぼす影響
  • 語彙判断課題における自己優先効果の検討
  • 人間関係に関する思考が未知顔の再認記憶に及ぼす影響
    ―自己・友人・有名人の視点からの友人関係思考処理―

現代社会心理学領域

現代社会心理学では、現代社会における人間の社会的行動にみられる心理学的現象に焦点を当て、基礎から応用までを視野に入れて、探求を深めていきます。国際化、高齢化、現代社会の健康問題など、解明や解決が望まれる現象を積極的に取り上げます。研究テーマは、対人関係、対人行動、社会的支援、異文化接触、文化、健康、医療安全などが考えられます。研究手法としては、実験や調査、面接、観察などの多様な方法を、選択したり組み合わせたりしていきます。

現代社会心理学領域にはどんな授業があるの?

※授業の内容は一例です。今後変更される可能性もあります。

実践演習(心理学研究法)では、実験、質問紙、面接、観察などの研究方法を学びます。

人文学講義(社会・集団・家族心理学)では、個人、対人、集団などの単位で人のこころをみつめます。

先輩たちはどんな研究をしているの?

  • 認知症カフェに参加する高齢者の安心感についての研究
  • 日本人高齢者の幸福観-生きがい意識・老年的超越・適応的受容に注目して
  • 若者と高齢者との交流を促進するソーシャルスキル学習―世代間交流プログラムの試み
  • 都市環境と個人の地域コミュニティへの意識・態度が垂直的および水平的個人主義-集団主義に及ぼす影響
  • 台湾留学における日本人留学生のソーシャルスキルに関する探索的研究
  • 在留外国人のためのごみ分別シミュレーションゲームの開発

臨床心理学領域

臨床心理学は、こころにかかわる学問が蓄積してきた知識を土台にして、病院やクリニック、学校の相談室や児童相談所、お年寄りのための施設や会社のカウンセリングルーム、家庭裁判所や刑務所など、さまざまな人との出会いがある臨床現場で、いつ、だれが、なにを、どのようにすれば、人々の役に立てるかを多彩な視点から研究し、そうした実践ができる人材を育てています。

臨床心理学領域にはどんな授業があるの?

※授業の内容は一例です。今後変更される可能性もあります。

人文学概説(臨床心理学概論)では、臨床心理学の歴史や代表的な理論などの基礎知識、傾聴などの基本的姿勢をグループワークを用いて体験的に学びます。

人文学講義(健康・医療心理学)では、ストレスと心身の疾病との関係、保健・医療領域及び災害時に関わる心理社会的課題及び心理に関する予防や支援について学びます。

先輩たちはどんな研究をしているの?

  • その日あったいいことを思い出す習慣は、人を健康にするのか
  • マスクをつけている人の表情は本当に読み取りにくいのか
  • 褒められ方が違うと恋愛依存になりやすいのか
  • 自分の居場所だと感じるものがあると、自分や人に対して受容的になるのか

在学生のことば

竹田 友希(2020年度入学・臨床心理学領域)

私は公認心理師の資格を取得するために、心理学分野の臨床心理学領域に所属しています。子ども相談員のボランティア活動で、様々な悩みを抱える子どもたちと出会った経験から、将来は教育や福祉の分野で子どもたちをサポートしたいと考えています。
心理学分野の最大の魅力は、学んだ知識を実生活で生かせることだと思います。心理学を学ぶことで、自己・他者の理解やコミュニケーション能力の向上、セルフケアなど、日常生活に結びついた実用的なスキルを身につけることが出来ます。私自身も心理学を学び始めてから、自分でうまくストレスに対処できるようになり、以前よりも心穏やかに過ごせるようになったと感じています。
授業ではグループディスカッションも多く取り入れられており、心の働きについて楽しく学ぶことが出来ます。また、臨床心理学領域の先生方は、学生の興味を尊重しながら指導をしてくださるので、卒業論文では自分の明らかにしたいことを追求することが出来ます。
心理学は幅広い分野と関連しており、非常に奥が深くて面白い学問です。皆さんも心理学分野で、心理学について学び、人の心に対する素朴な疑問や関心を探求してみませんか?

教員のことば

田中 共子(現代社会心理学領域)

現代社会心理学では、現代社会における人間の社会的行動にみられる心理学的現象に焦点を当て、基礎から応用までを視野に入れて、探求を深めていきます。国際化、高齢化、現代社会の健康問題など、解明や解決が望まれる現象を積極的に取り上げます。研究テーマは、対人関係、対人行動、社会的支援、異文化接触、文化、健康、医療安全などが考えられます。研究手法としては実験や調査、面接、観察などの多様な方法を、選択したり、組み合わせたりしていきます。
人の心は自分の自由になるようでいてそうでもない、自ずと周りの人や環境の影響を受けて揺れ動いていくものです。その影響に気付くことも気付いていないこともあります。時には社会の中でその影響を意識的に使っていきます。その影響や関係の法則、予測、コントロールについて、実証的な方法で探究していきます。自分の関心に沿って研究テーマを設定し、研究計画を立ててデータを集め、分析し考察していく一連の過程は、発見の驚きに満ちた、この上なく面白い営みです。大きな探究心を持ってご一緒してください。

住岡 恭子(臨床心理学領域)

私たちはなぜ、自分たちに「こころ」があると思うのでしょうか。確かにここにあると感じられる「こころ」とは、一体何なのでしょうか。心理学は、「こころ」という目に見えないもの、つまり厳密にいえばそのものを直接観察することが不可能なものを、何とか説明できないかというチャレンジを続けてきた学問です。
例えば私の専門としている臨床心理学では、目の前にいるクライエントその人の「こころ」について、ことばや遊び、イメージなどのやりとりを手がかりにして理解しようとします。また先達が積み重ねてきた知見に基づいて、クライエントの「こころ」についての理解を構築し、それをご本人にお伝えして照合を試みる実践研究も行います。数学的理論を応用した統計学を用いることもありますし、哲学や歴史学、芸術学、医学や生物学、教育学、社会学などの知見を参照し引用することもあります。
どうすれば「こころ」というものをうまく描写し、他者に伝えることができるのか、様々な角度から、様々な道具を使って光をあててきた知識の集合体が「心理学」なのです。皆さんにはぜひ一緒に、この奥深さと幅広さを味わっていただきたいと思っています。