教員一覧

西村 大樹(にしむら・ひろき)

教育分野(領域)

心理学分野(臨床心理学)

研究・教育のキーワード

臨床心理学、思春期・青年期のメンタルヘルス、神経発達症、認知行動療法、予防と早期介入

研究者としての私

私は大学・大学院で臨床心理学を学び、国立の精神保健に関する研究機関で、摂食障害を抱える方の心理学的・心身医学的な研究に携わりました。最初から明確な研究テーマや大きな問題意識があったというよりも、目の前のデータや事例に向き合いながら、「ここから何がわかるのか」「それを支援にどう生かせるのか」を考えるところから始まったように思います。そうした経験を通して、臨床で感じた疑問を研究の方法で整理し、得られた知見を支援に生かしていくことの大切さを学びました。

その後は、精神科医療機関や大学における学生支援の現場で臨床を続けながら、研究にも取り組んできました。精神科医療の現場では、神経発達症の特性による困難さ、メンタルヘルスの不調、アルコールなどの嗜癖の問題、就労や社会参加の困難などに向き合ってきました。また、学生支援の現場では、修学上のつまずきや対人関係の悩み、将来への不安を抱える学生と関わってきました。自分の関心を一つのテーマに絞って追究してきたというよりも、その時々の現場で求められることや必要だと感じたことに向き合う中で、臨床実践と研究の両方に関わってきました。

研究者として一貫して心がけているのは、「臨床現場で抱いた疑問や問いを、科学的な方法論を用いて検証し、その成果をふたたび現場の支援に還元する」ことです。研究のための研究ではなく、目の前の患者さんや支援を必要とする方のために、現場で本当に活用できる知見を積み重ねることを大切にしていきたいと思っています。そして、現場の知恵や経験と研究によるエビデンスをつなぎながら、よりよい支援のあり方を考え続けていきたいと思っています。

教育者としての私

大学に入った頃、恩師の一人から「まずは方法論をしっかりと学びなさい」と言われたことを、今もよく覚えています。当時はその意味がピンと来ていませんでしたが、自分で研究や臨床に取り組むようになって、確かな方法論を身につけていることが、その後さまざまな問いに取り組む土台になることを実感しています。学生のみなさんにも、まずは基礎となる方法論を、じっくり学んで欲しいと思っています。

新しい知識を学ぶことや、まだ誰も取り組んでいない問いに挑むことは、本当に楽しく面白い営みです。心理職として支援を続けていくには(それ以外の分野で働いていく方も同じですが)、生涯学び続けることが欠かせません。そして、学び続けるためには、その先に「楽しさ」や「面白さ」がないとなかなか続きません。私自身がそうした感覚に支えられてきたように、学生のみなさんにも、学ぶことや研究することの面白さが伝わるような関わりを心がけたいと思っています。

そのためにも、ふだんの生活や勉強のなかで浮かんでくる「ちょっとした疑問や問い」を、ぜひ大切にしてください。研究も臨床も、たいていはその小さな引っかかりから始まります。そして、そのちょっとした疑問をどうしたら理解できるのか、どうすれば研究の形にできるのかを一緒に考えていけたらと思っています。

私が書いたもの

石垣琢麿・菊池安希子・松本和紀・古村健(編)(2019).事例で学ぶ統合失調症のための認知行動療法.金剛出版.(分担執筆「症状が慢性化した触法事例へのアプローチ」)

統合失調症などの精神疾患を抱える方への認知行動療法(CBT)という治療法について、具体的な事例を通して学べる本です。私は、症状を長く抱えてこられた方への支援についての章を担当しました。専門書なので難しい内容も含まれていますが、関心のある方は手にとってもらえると嬉しいです。