教員一覧

安藤 美華代(あんどう・みかよ)

教育分野(領域)

臨床心理学分野

研究・教育のキーワード

現代臨床心理実践学,臨床健康心理学,心理アセスメント,心理療法,支持的心理療法,心理教育,予防,セルフケア,マインドフルネス,抑うつ,不安,いじめ,糖尿病心理臨床学

研究者としての私

総合病院での心理臨床にもとづく実証研究および実践研究(内観併用絶食療法の治療効果の検討,糖尿病とともに生きる人の心理と心理療法,摂食障害を抱える人の心理と治療効果の検討,子ども・若者のこころの問題および問題行動に関する研究)が,出発点です。これらの研究を通して,こころの問題や問題行動,身体不調を抱えた人たちのつらい気持ちや深刻さを理解し,いくつかの治療や支援の有用性を示唆することができました。

また,総合病院で出会う人たちの悩みや傷つき,心理的負担感には,様々な要因が関連していることがわかりました。これらの課題に取り組むにあたり,その人はもとより,ご家族や多職種専門家がチームを組んで,十分に機能していくことの重要性を実感しました。

同時に,一人ひとりの方への心理アセスメントや心理療法をとおして,つらい気持ちや問題・葛藤に寄り添い,じっくり向き合い,一緒に探索していくことで,つらい気持ちや葛藤・関連する症状などが緩和し,適応能力が発揮されることを経験しました。この経験をとおして,心理臨床の実践ならびに研究に携わっていきたいと強く思うようになりました。

さらに,このような一人ひとりの方との心理臨床的関わりから,その人たちの自己評価や適応能力の維持・向上には,その人たちが生きる場にいる人たちのこころの健康を育む支援も必要だと感じるようになりました。そこで,人々が生きていくのに大切なこころの基礎力づくりとなる取り組みをしたいと考えるようになりました。

そして現在これらを統合して,主として,次のような研究をしています。①いじめ,不登校,抑うつ,不安,ストレス,トラウマ,食行動の問題など,心理・行動上の問題を予防し心の健康を育む人間関係とセルフケアの臨床心理実践学研究-心理教育“サクセスフル・セルフ”とマインドフルネスを活用して―。②糖尿病とともに生きる人と家族への心理臨床学研究-支持的心理療法を応用して―。③職場のメンタルヘルス対策に関する臨床心理実践学研究。④いじめ,不登校,抑うつ,不安,ストレス,トラウマ,食行動の問題など,健康を脅かす諸問題の心理社会的要因に関する実証研究。

教育者としての私

学生さんには,心理臨床に携わるにあたって大切なことを伝えたいです。

指導にあたっては,各自の強みをいかし,課題に向き合いながら,柔軟に,ねばり強く身の丈に合った現実可能な心理臨床や研究に取り組めるような関わりを重視しています。心理臨床では,つらい気持ちや悩み,葛藤を抱えて出会う人へ,敬意をもって謙虚に関わること,その人の苦悩にも強みにも向き合い続ける力を育むことを大切にしています。そのために,学生さん自身のこころの健康を保つセルフケア教育にも力を入れています。研究については,発想,計画立案および遂行,柔軟さ,実践,多様な分析,統合,他者の意見を受け容れる真摯な態度,倫理的配慮,課題を受け容れてよりよいものにしていく努力と根気,他者にわかりやすく表現するなど多面的な力を身につけるものだと思っています。研究は,まさに心理臨床の基礎力を培うのに役立つと考えています。心理臨床における実践とともに大切な取り組みだと考えています。

臨床心理学に関心のある学生さんで,学ぶ姿勢があり,主体性に富み,人々のこころの健康に貢献する心理臨床に携わることを志す,心理職をめざす人に適した授業だと思います。

私が書いたもの

『中学生における問題行動の要因と心理教育的介入』(風間書房,2007,攻撃行動に関する部分:2004-2005年祐宗・ベイン心理学研究奨励賞[国際心理学者協会])。『中学生における「ネット上のいじめ」に関連する心理社会的要因の検討』(学校保健研究51(2),77-89,2009,平成22年度日本学校保健学会賞[日本学校保健学会])。
『自己理解を深め人間関係力を育む心理教育“サクセスフル・セルフ”』(岡山大学出版会,2012)。『児童生徒のいじめ・うつを予防する心理教育“サクセスフル・セルフ”第2版』岡山大学出版会,2015)。『“サクセスフル・セルフ”ワークブック第2版チーム医療と人間関係力Up!』(岡山大学安藤美華代研究室,2017)。
『子どもの発達障害・適応障害とメンタルヘルス』(眞田敏・加戸陽子と共編著,ミネルヴァ書房,2012)。
「糖尿病:カウンセリング」(pp.77-81,分担)『医療における心理行動科学的アプローチ-糖尿病・ホルモン疾患の患者と家族のために』(中井吉英(監修).内分泌糖尿病心理行動研究会(編),新曜社,2009)。
『臨床健康心理学:ケースフォーミュレーションと心理療法』(監訳,岡山大学出版会,2010)。ウィズダム・サイコロジーとウィズダム・サイコセラピーの内容を含む『外傷後悲憤障害』(監訳,岡山大学出版会,2014)。