三輪 聖(みわ・せい)
教育分野(領域)
言語学・現代日本語学分野(現代日本語学)
研究・教育のキーワード
認知言語学、ドイツ語の分離動詞、日本国外における日本語教育学、継承語教育、ことばとアイデンティティ、複言語・複文化主義、民主的シティズンシップ教育、ドイツの「政治教育」、移民に対する言語教育
研究者としての私
現在の専門は日本語教育学です。特に日本国外における日本語教育に長年携わってきました。
しかし、私が初めて「研究って面白い!」と感じたのは、学部生の時に(私が大好きな)チーズの味と香りの日本語表現を調査した時でした。チーズの味は、他の感覚を転用したり比喩的な表現を用いたりすることで実に豊かに言語化されているのですが、なぜそのような表現が選択されるのかに興味を持ち、認知意味論を勉強してチーズの複雑な味や香りの概念化のプロセスを解明しようとしました。ある現象に興味を持ち、「どうして?」と感じたことを見逃さずにキャッチし、その謎を解き明かそうと追求していくプロセスは実に楽しいものでした。
その後、私はドイツ語と深く関わることになり、ドイツ語の前綴りのついた分離動詞という文法現象に興味を持ち、なぜ動詞の意味が空間的な意味から時間的な意味にまで拡張していくのかという謎と向き合う期間が長く続きました。そしてドイツとの関わりはどんどん深まり、ドイツに移住することになります。ドイツで息子が複数の言語の中を生きる様子を目の当たりにし、言葉の習得に興味を持つようになって、日本語教育の世界に入りました。教室で実践をすればするほどその実践を深く追求したくなり、私の日本語教育の実践研究活動が始まりました。様々な日本語学習者との出会いは、私に「日本語を教える」ことだけでなく「教育とは?」という大きな問いを持つことの重要さに気がつかせてくれ、現在もずっとその問いと向き合い続けています。
教育者としての私
「教育とは?」という問いについて考え続けています。
私は授業で学生と同じ目線で対象と向き合い、課題を発見し、共に考え議論し、課題解決に向けて模索していくことを大切にしています。共に知恵を絞って意味を構築するプロセスはとても大切で、大学のみならず社会で生きていく中でも求められることです。大学はこのような経験をじっくりと積み重ねていくことができる場です。
岡山大学での講義・演習では、日本語教育の観点から現代日本語について考える授業を展開しています。日本国内のみならず国外における多様な日本語使用の実態、様々な領域の日本語教育、学習者から見た日本語などをテーマに自分の母語である日本語を見直す作業を行います。それによって、今まで気がつかなかった日本語の姿が見えてくることを期待しています。
私が書いたもの/仲間と創ったもの
■名嶋義直・野呂香代子・三輪聖著『対話を通して学ぶ「社会」と「ことば」日本語×民主的シティズンシップ 深く,広く,じっくり考える20のトピック』(凡人社、2023年)
■佐藤慎司・神吉宇一・奥野由紀子・三輪聖編著『言葉の教育と平和:争い・隔たり・不公正を乗り越えるための理論と実践』(明石書店、2023年)
■名嶋義直編『民主的シティズンシップの育て方』(ひつじ書房、2019年)
49~97頁(名嶋義氏・野呂香代子氏との共著)、115~135頁、161~183頁(野呂香代子氏との共著)
■複数の言語・文化とつながりを持っている子どもたちのための素材
親子で取り組む『わたし語ポートフォリオ』(チーム・もっとつなぐ、2021年)
https://tsunagu.jpf.go.jp/watashigo/
■複言語ファミリーをつなぐポータルサイト『つなぐ』(チーム・もっとつなぐ)
https://tsunagu.jpf.go.jp/