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堀内 孝(ほりうち・たかし)

教育分野(領域)

心理学分野(社会心理学領域)

研究・教育のキーワード

社会的認知、認知心理学、社会心理学、性格心理学、自己意識、自己知識、潜在・顕在記憶、自己開示、自伝的記憶

研究者としての私

父や叔父母が大学の教官だったので、研究者になるのは当たり前のことだった。問題は何を研究するかで、ノーベル賞への強い憧れもあり、医学、物理学、数学といろいろ迷ったが、気がつけば父と同じ心理学を志していた。私の研究テーマは自己意識が成立するメカニズムを科学的に解明することであるが、これは幼少時に体験した、いわゆる「自我体験」が契機になったと思われる。自己意識の問題は歴々代々の哲学者が取り組んだハードプロブレムであり、21世紀科学の最重要課題のひとつだと言われている。この難問を解明するために私が採用したパラダイムは、人間を情報処理の系とみなす情報処理アプローチであり、認知心理学と社会心理学の境界領域である「社会的認知」に立脚した研究であった。具体的には、自分自身の記憶を想起したときに生じる回想体験やアイデンティティ感覚を対象に、反応時間や記憶成績などの行動指標、質問紙を用いた多変量解析、fMRIやERPなどの生理指標、半構造化面接、といったマルチメソッドを駆使した研究を行っている。

教育者としての私

心理学の研究は、感覚心理学や知覚心理学などの基礎領域から、社会心理学や文化心理学、さらに進化心理学や比較心理学、芸術心理学、法心理学、犯罪心理学といった応用領域まで広範に亘っている。人間の諸活動すべてが心理学の研究対象と言って過言ではなく、リベラルアーツとしての性質を多分に有している。また、心理学には実験法や調査法、面接法、観察法、コンピュータシミュレーション、理論法など、自然科学を上回る実証的な方法論が確立されている。複雑な人的現象を観察し、検討するのに適切な理論と方法を選択し、複数の検討結果から仮説の確かさを収束的に高めていくという心理学の基本姿勢は、批判的思考を涵養するのに最適の学問だと言われる所以でもある。「公認心理師」が国家資格として制定されたことを契機に、授業の内外において、心理学の有用性を啓蒙することが肝要だと考えている。

私が書いたもの

一般の書店で手に入る書籍としては以下の二冊をお勧めします。堀内(2011)は子安先生(京都大学)、大平先生(名古屋大学)たちと一緒に行った日本心理学会のシンポジウムの成果をまとめたものです。また、堀内(2012)は京都大学で開催されている自己意識研究会の構成員で執筆したものです。いずれも自己意識研究の最前線を知ることができます。
堀内 孝(2011).自己が成立するための記憶の仕組み:記憶による知覚経験を超えた自己の拡張子安増男・大平英樹(編)ミラーニューロンと心の理論.新曜社.Pp.133-152.
堀内 孝(2012).コンウェイの自己‐記憶モデル 梶田叡一・溝上慎一(編)自己の心理学を学ぶ人のために世界思想社.Pp.97-107.

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