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栗林 裕(くりばやし・ゆう)

教育分野(領域)

言語学・現代日本語学分野(言語学)

研究・教育のキーワード

トルコ語、チュルク諸語、形態論、統語論、言語接触、対照研究、フィールド言語学、記述言語学、言語類型論、テキストマイニング

研究者としての私

言語学という学問分野で、主にトルコ語をはじめとするチュルク系の諸言語についての記述的研究をしています。子供の頃より外国のことや外国語に興味があり、海外からのラジオ放送を聞いたり、ラジオそのものを組み立てたりするのが好きでした。将来は無線技術者のような仕事を目指し、高校では理系に進みました。しかし必須である数学に親しみが持てず、高校3年の後半で進路変更し、大学は文系に進むことにしました。言葉に興味があったので、言語学を選びましたが、トルコ語との出会いは偶然でした。言語学ではなにか一つ核になる言語を選びますが、その際に大学でしか学べないものを選ぼうと思い、当時の指導教官の専門分野であったトルコ語を選びました。学部生の頃は、トルコ語を勉強しつつ、英語学授業で生成文法の授業などを通して理論言語学の面白さにも触れました。言語類型論の概念を取り入れつつトルコ語の研究をさらに進めていくために、米国の大学から移ってこられた言語類型論の著名な研究者が所属されている他大学の大学院博士課程に進みました。日本の大学の研究のスタイルとは違った雰囲気で、研究とはどういうものであるかを知り、視野が広がったと思います。その後、トルコのイスタンブルでの2年間の留学等を経て、縁あって岡山大学文学部に教員として戻ることになり、現在に至ります。研究を始めたころを振り返って特に心に残るのは、若いころの留学で得た経験はとても貴重なものだったということです。その国の言語を言語学的に研究するためには、ことばの研究だけでは全く不十分で、母語話者と接しながらその国の歴史や宗教、経済や地政学的な問題などを総合的に理解する必要と共に、相対化するために母語である日本語やそれに関連する歴史や文化についても十分な知識が必要であることを肌身で感じました。また、異文化の中で生活する間に遭遇するさまざまな困難を解決して乗り越えていくための楽観主義(←研究にも必要)のようなものも身につけることができたように思います。

教育者としての私

言語学を専門分野にするということは、ことばのすべての側面に関心を持ち、対応できなければならないと思います。つまり、自分の専門の言語や特定の分野のみを選び、またそれを学生に押しつけるようなことがないように心がけています。しかし、自分は普通の人間であり、あらゆる言語を知っている訳でも、言語学のすべての分野に同じように深く通じている訳ではもちろんありません。言語学の新しいトピックや潮流にも関心を持ちつつ、自分の不得手とする分野にも挑戦し、取り組んでいこうという思いは常に持っていたいと考えています。したがって、授業は音韻論、形態論、統語論から語用論や社会言語学、パソコンを利用した言語分析まで幅広く展開します。自分があまり知らない言語であっても、そこで追求しなければならない研究課題は言語研究として共通のものがあるので、そのような方針に従って論文作成のアドバイスをします。研究テーマはあくまでも学生の関心に沿うかたちで、それをどのように有意義な形に展開できるかを常に考えたいと思います。岡山大学文学部では卒業論文を課しており、学術面で大きな充実感を得ることができるのは、納得がいく卒論を仕上げた瞬間だと思います。その意味で、卒論の位置づけを重要なものであるとし、テーマの選定から論文の内容まで、将来、誰に見せても恥ずかしくないものを仕上げることを目標にアドバイスしています。

私が書いたもの

直近の和文で書いたもののみ紹介します。
「V+V 型複合動詞と語形成 ―トルコ語から見た日本語―」影山太郎(編)『複合動詞研究の最先端 ―謎の解明に向けて―』(ひつじ書房、2014年)
現国立国語研究所所長の影山太郎教授をリーダーとする5年間のレキシコンに関する研究プロジェクトの中で生まれた研究成果。対照言語学的研究からアプローチするトルコ語の専門研究者として参画。

「現代ウイグル語の他動性について―形態的派生の方向性と意図性の観点から―」パルデシ・ナロック・桐生(編)『有対動詞の通言語的研究―日本語と諸言語の対照から見えてくるもの』(くろしお出版、2015年、新田志穂と共著)
卒業論文や修士論文でもトルコ語を研究してきた文学部卒業生との共著。本学大学院でチュルク系言語のウイグル語の研究で博士号を取得後、現在、内モンゴルの大学で日本語の教員として活躍中。

「11.トラカイで守られるチュルク系カライム語」櫻井映子(編)『リトアニアを知るための60章』(明石書店、2015年度出版予定)
カライム語とは、バルト三国のひとつ、リトアニアの首都ヴィリニュス近郊居住のユダヤ教徒の母語であるチュルク系極小言語。チュルク系言語の話者は世界各地に広がる。本書は一般読者を対象。

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