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德永 誓子(とくなが・せいこ)

教育分野(領域)

歴史学・考古学分野(日本史学)

研究・教育のキーワード

日本史、中世史、修験道、山伏、寺社組織、怨霊、憑依現象、絵巻物

研究者としての私

日本の歴史の中でも中世と呼ばれる時代を専門にしています。具体的な研究対象は、山伏や怨霊などです。

中世史に興味を持つようになったのは、大学の教養部時代に選択した講義がとても面白かったから。当時、網野善彦さんなどの本が広く読まれて、中世史ブームとも言われていました。このことも影響しています。宗教、寺社勢力に関心を寄せるようになったのも、非常勤でいらっしゃっていた先生の話がきっかけです。山伏や怨霊といった、比較的マイナー、かつ胡散くささのあるテーマを選んだのは……正直、よく分かりません。文献や先行研究を読みながら、面白そうな方に進んでいったらたどりついた。自分ではそう考えていますが、大学に入る前からあった指向も影響したのかもしれません。

中世史研究のメインストリームは、荘園や幕府にあります。山伏や怨霊は一見、縁が薄く見えますが、関係がないわけではありません。山伏が荘園の経営に関わることもあれば、将軍や天皇の周りで活躍する山伏もいます。怨霊は中世や古代においては、重要な政治問題になることもありました。山伏や怨霊の動きを追っていくと、当時の社会の意外な側面に迫ることができます。

中世という時代において妖しく胡散くさいものたちが果たした役割を考えていると、では今はどうだろう?と気になります。今も少なくない人びとが妖しく胡散くさいものを、疑いながらも信じています。なぜ、そういうものを求めるのか。求めずにいられないのか。興味はつきません。

教育者としての私

モノや行事、習慣など文字でない形で残されたものも、歴史学の考察の素材になりますが、私が専門に学んできたのは文字の形で残されてきたもの、いわゆる「文献史料」の扱いです。授業でも、日本中世文献史料を扱う方法について伝えていきます。

中世の文献の多くは、日本式の漢文体で書かれています。言葉も独特です。「自由」や「公平」のような現在も使われる言葉が別の意味を表していることも多くあります。読み方が違うこともあります。正確に理解するためには、辞書をはじめとした参考文献を利用することが求められます。

書かれている内容だけでなく、その文献がどのようなものか、も重要です。誰が、いつ書いたものかはもちろん、どこにどのような形で保管されてきたものか、など。文献が書かれた意図や伝わってきた経緯を考えることで、内容の理解が深まり、場合によってはまったく違う問題を解き明かす手がかりになります。

先行研究を知ることも欠かせません。歴史を学ぶことの中には、歴史学の歴史を学ぶことが含まれます。ある事件、人物をどのように評価するかは、当然ながら時代によって変わります。かつては注目されていなかった事件が、重視されるようになったケースも多くあります。見方はなぜ変わったのか。どのように変わっているのか。この問題を考えることは、過去にあった出来事と今、生きている人びととの関係を知る上で非常に重要です。

私が書いたもの

「日本中世生霊試論」(『日本的時空間の形成』吉川真司・倉本一宏編、思文閣出版、2017年)
「修験道の成立」(『修験道史入門』時枝務・長谷川賢二・林淳編、岩田書院、2015年)
「中世における「修験道」の相対化―禅僧神子栄尊の大峰入り」(『山岳修験』第53号、2014年)

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