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東野 将伸(ひがしの・まさのぶ)

教育分野(領域)

歴史学・考古学分野(日本史学)

研究・教育のキーワード

日本近世史、村落史、地域社会、金融、流通、領主財政、両替商、民衆思想、岡山藩、一橋徳川家、資料保全

研究者としての私

日本史の中でも近世史、特に18世紀中期~19世紀中期くらいまでの時期を専門としています。この時期は、それまでの日本近世社会の仕組みが変化・動揺し、他方で新しい政治・経済・文化の動きがみえつつあった時代であると思います。このような時代において、普通の人々はいかなる社会構造や経済状態のもと、どのように行動していたのかを知りたいと思い、主に地域や村に残った文書を用いた研究に取り組むこととなりました。

専門的な研究内容として、私は村落・地域における租税・金融や経済の問題を考えていくことから研究を始めました。現代とは異なる論理のもとに営まれていた金融活動(頼母子講、質地売買慣行、有力者による融通など)が、時代を経るにしたがってどのように変化していったのかを考えることは、その時代の特質を深く理解する手助けになるとともに、現代の社会や経済の仕組みを相対化するための視座を与えてくれると思います。

最近では、都市・領主と地域社会との経済・金融面での関係や、中央市場と地域との為替・決済関係、近世後期~明治前期における民衆意識の問題、歴史資料の保全と地域・行政・研究者との関係のあり方、などについても考えています。

教育者としての私

何よりもまず歴史を物語る史料に触れる楽しさを知ってもらい、そのうえで実際のモノ(史料)や状況の正確な理解と分析に基づきつつ、段々と広い事象を見通していく視野を身に付けていってもらいたいと考えています。このような体験や訓練によって得た様々な能力は、歴史研究の分野のみにとどまらず、学生のみなさんの将来にとってもきっと役立つものだと思います。

日本近世史では、同時代に記された古文書を解読する作業がとても重要です。慣れるまでは古文書に書かれているくずし字(現在の字体でいうと草書や行書のようなもの)はなかなか読めませんが、パズルを解くようなイメージで勉強を重ねていき、読めるようになっていく過程は本当に楽しいものだと思います。そして、一見何の変哲もない古文書史料が、実はその時代の特徴を明瞭に示している場合や、江戸時代の歴史上の人物の活動や法令が社会のあり方や普通の人々の生活をどのように規定していたか(あるいはしていなかったのか)を物語っていることもあります。

また、岡山大学附属図書館には、全国的にみても稀有な質・量を有する藩政文書である「池田家文庫」(岡山藩)など、貴重な史料群がいくつも所蔵されています。これらの貴重な歴史資料を実際に手にとって、日々の学習や研究に取り組むことができる恵まれた環境にあります。

高校までの歴史の勉強では、中央政治史や歴史上の有名な人物の動きに焦点が当たることが多かったと思います。しかし、教科書の記述のもとになった史料を実際にみて、他の史料との関係も考えながら歴史の流れを考察すること、また日本全国に残存する古文書史料を読み解き、ほとんど触れられたことのない事例から地域や日本全体の歴史的変化を考えることなど、大学では高校までとは異なった方法で歴史を学び、研究していくことになると思います。

私の授業では、古文書史料の扱い方、日本近世の漢字仮名交じり文の読み解き方をメインとして、私自身の研究成果や近年の日本史研究における成果もふまえつつ、講義や演習を行っていきたいと思っています。意欲ある学生のみなさんとともに勉強できることを、楽しみにしています。

私が書いたもの

「近世後期の地域経済と商人―備中国南西部と大坂との関係を中心に―」『日本史研究』679号、2019年
「幕末期の掛屋と年貢銀収納―備中一橋領を事例として―」『歴史学研究』966号、2018年
「近世後期から明治前期における家・同族意識―備中国後月郡山成一族の分家を題材に―」
『日本歴史』831号、2017年
「近世後期の一橋徳川家における財政運営―幕府・所領との関係を中心に―」『ヒストリア』259号、2016年
「近世後期の頼母子運営と豪農―備中国南西部を題材に―」『地方史研究』374号、2015年

など。

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