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佐々木 守俊(ささき・もりとし)

教育分野(領域)

芸術学・美術史分野(美術史)

研究・教育のキーワード

日本美術史、仏像、平安時代、鎌倉時代、密教、仏教版画、像内納入品、 大量造像、図像学、浮世絵 

研究者としての私

平安~鎌倉時代の作品を中心に、仏像の歴史を研究しています。特に、密教彫刻のなりた ちとその背後の人間関係や、像内の空間に仏舎利(釈迦の遺骨)、経典、小さな仏像、版画、 人名を書いた紙などを納入する信仰に興味があります。

子供の頃から日本の美術作品と歴史が好きで、「美術史」とは「美術+歴史」だから面白い に違いない、と思って進学先を決めました。実際の勉強はそんなに甘くはなかったのですが。 19 世紀の浮世絵師・歌川国芳に関する卒論を書き、企業に就職したのですが、「美術史をち ゃんと勉強したい」という誘惑に勝てず、退職して大学院に入り直しました。

はじめは学部時代と同様に浮世絵を勉強していたのですが、指導教員の先生の勧めで、修 士 1 年の終わり頃、学外の仏像の専門の先生に入門しました。その後、町田市立国際版画美 術館に学芸員として勤めました。業務は浮世絵に関することが中心でしたが、ここで仏教版 画の世界と出会います。仏教版画とは、仏教信仰にもとづく版画のことで、なかでもスタン プ式の小型の木版画である印仏に興味を持つようになりました。印仏は仏像の像内に納入さ れることが多く、彫刻史の観点から考察すると面白いことに気づき、それ以降は印仏を納入 した仏像の研究がメインテーマとなりました。なお、浮世絵は本当の意味での専門領域では ありませんが、今でも講義ではときどき取り上げています。

教育者としての私

講義では、作品のスライドを見て、「なぜこの作品は制作されたのか?」と疑問を持ってく れれば嬉しいです。美術作品がなくても人は死んでしまうことはありません。しかし、それ らを欲する痛切な願いがあったからこそ、壮麗な大仏、ドラマティックな絵巻物、たくみな 筆運びによる水墨画、そしてカラフルな錦絵が制作されたのではないでしょうか。美術作品 は社会を映し出す鏡です。そして、ものを作り、見ることは、人間の根源的な欲求です。美 術作品を生み出し、享受した人々の息づかいに思いを馳せてほしいと願っています。

演習では、文献をしっかり読むことと、研究史に敬意を払うことを強調しています。岡大 には立派な図書館がありますし、現在はネット検索で書籍や論文に関する情報が手軽に得ら れます。この機会を活かし、文献を的確に探索して読みこなし、論旨を正確につかまえる方 法を身につけて下さい。それは、研究史の把握にもつながります。過去の研究によって何が わかったのか?逆に何がわかっていないのか?まずはそれを知ることが大切です。現在の私 たちの研究が過去の積み重ねからの連続であるという実感を味わうことも重要です。この感 覚が味わえれば、いわゆるコピペがいかにつまらない行為かわかるでしょう。

私が書いたもの

「神護寺五大虚空蔵菩薩坐像の図像について」(『美術史』147 号、1999 年)
「安祥寺五智如来坐像について」(『國華』1306 号、2004 年)
「理性院の御産御祈と本尊画像」(頼富本宏博士還暦記念論文集刊行会編『マンダラの諸相と 文化』上、法蔵館、2005 年)
「三宝院定海の吉祥天造像」(河野元昭先生退官記念論文集編集委員会編『美術史家、大いに 笑う』、ブリュッケ、2006 年)
「覚音寺千手観音菩薩立像と納入印仏」(『実践女子大学 美學美術史學』22 号、2008 年)
「東大寺大仏と聖武天皇」(浅井和春監修『イメージとパトロン』、ブリュッケ、2009 年)
『十一面観音像』(『週刊朝日百科 国宝の美』14 号、朝日新聞出版、2009 年、岩井共二らと 共著)
『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 保永堂版 東海道五拾三次』(町田市立国際版画美術館監修、 二玄社、2010 年)
「千仏をあらわす印仏の像内納入について」(津田徹英編『仏教美術論集』2 図像学Ⅰ、竹林 舎、2012 年)
『謎解き浮世絵叢書 歌川広重 冨士三十六景』(町田市立国際版画美術館監修、二玄社、2013 年、折井貴恵らと共著)
「密教絵画から彫刻へ―曼荼羅・図像の請来と彫像化―」(伊東史朗責任編集『日本美術全集』 第 4 巻 密教寺院から平等院へ、小学館、2014 年)

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