教員一覧

中東 靖恵(なかとう・やすえ)

教育分野(領域)

言語学・現代日本語学分野(現代日本語学)

研究・教育のキーワード

社会言語学、地域方言、社会方言、日本語音声学、アクセント、ブラジル、パラグアイ、南米日系移民社会、言語継承、言語変容

研究者としての私

専門は社会言語学です。社会言語学とは、言葉を社会とのかかわりから捉える学問です。例えば「日本語」は、どこで誰に話されている言葉でしょうか?日本国内はもちろんですが、海外にも日本語を使って生活している人がいます。

もともと研究に興味があってこの道に進んだわけではありませんでした。大学2年生の夏、初めての海外研修でアメリカを訪れ、ホストファミリーにとてもかわいがってもらいました。帰国後、アメリカで日本語教師になることを夢見て、日本語教育の勉強を始めました。そこで出会ったのが、恩師となる方言学の教授でした。恩師との出会いにより広島市方言アクセントの調査を手伝うようになり、その後、大学院へ進学しました。大学院在学中は、韓国・中国の日本語学習者の日本語音声に興味を持ち、学習者の母語がどのように日本語習得に影響するのかについて研究をしていました。

1998年、恩師がブラジルでの学会講演者として招聘され、私もブラジルを訪れました。そこで出会ったのがブラジルの日系社会でした。地球の反対側にあるブラジルに小さな日本があり、日本語を話す世界がありました。その翌年、岡山大学専任講師として着任し、大学で教鞭をとる傍ら、夏休みを利用して南米日系社会の日本語の調査を始めました。

何度か南米を訪れるうち、実は親戚がブラジル移民であることが分かりました。数年後、奇跡的に親戚を見つけ出すことができ、サンパウロで初めて出会うことができました。その同じ年、岡山県でブラジル人が集住する総社市から依頼され、地域に暮らす外国人のための日本語教室を立ち上げることになり、現在に至ります。

大学に入ったばかりの頃には研究には全く興味がありませんでした。でも、度重なる不思議な出会いと運命に導かれて今の自分があります。社会言語学者として、学問を通じて社会に貢献し、地域に暮らす多くの人に言葉の研究の面白さを伝えていけたらと思っています。

教育者としての私

講義・演習ともに社会言語学をテーマに授業を展開しています。社会言語学と言っても、その守備領域はとても広いものです。例えば、言葉の年齢差・世代差・地域差、言葉の場面差(方言と共通語の使い分け、敬語の使用)、文体差(書き言葉と話し言葉、メール・ネットの言葉)、のような日本人の日本語使用や言語変化・言語変容だけでなく、言葉とジェンダー、言語とアイデンティティのようなテーマや、第二言語としての日本語の習得、外国人のための日本語教育のような日本語を母語としない人の日本語の研究も社会言語学の中に入ります。

講義では、たくさんの研究データを紹介し、研究の方法論、調査データの見方、解釈の方法などについてお話しします。演習では、受講生が各テーマに沿った研究論文を見つけて発表する、自分でフィールド調査を行うなど、学生自身が文献資料の収集や実地調査を行うことにより、社会言語学の研究の面白さを味わってもらうようにしています。失敗を恐れず、まずはやってみること。実際に行動を起こすことにより見えてくるものがたくさんあるはずです。

私が書いたもの

南米日系移民社会の言語変容に関するもの

『ブラジル日系・沖縄系移民社会における言語接触』(ひつじ書房、2009年、工藤真由美らと共著)
「パラグアイ日系社会におけるアクセントの継承と変容―パラグアイの広島県人家族を対象に―」『社会言語科学』13-2(社会言語科学会、2011年)
「ブラジル語と日本語―日系人のことば」『日本語学』33-1(明治書院、2014年)

外国人に対する日本語教育に関するもの

「韓国語母語話者の英語音声と日本語音声-聞き取り・発音調査の結果から-」『音声研究』2-1(日本音声学会、1998年)
「岡山県総社市に暮らすブラジル人住民の言語生活―外国人住民の日本語学習支援を考える」
『社会言語科学』17-1(社会言語科学会、2014年)

山陽地方の方言に関するもの

「広島市方言における語アクセントの動態」『音声学会会報』210(日本音声学会、1995年、馬瀬良雄らと共著)
『井原の方言集―井原地方の話しことば』(井原市教育委員会、2014年、監修)

若者ことば・キャンパスことばに関するもの

『現代キャンパスことば辞典―岡山大学編』(吉備人出版、2002年)

教員一覧