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渡邊 佳成(わたなべ・よしなり)

教育分野(領域)

歴史学・考古学分野(東洋史学)

研究・教育のキーワード

アジア史、東南アジア史、海域アジア、ミャンマー、ベンガル湾、上座部仏教、ヒンドゥー教、世界遺産、海のシルクロード、中国

研究者としての私

東南アジア史、特にミャンマーの政治史を専門としています。イギリスの植民地になり滅亡してしまったコンバウン朝(1752-1885)がどのような支配構造をもった国家だったのかを、王の支配の正統性の主張という理念の問題と実際の支配制度の実態の両方からみていくことによって解明しようとしています。

そして、王権と宗教の関係に注目し、他の東南アジアの諸国家とも比較検討しながら、前近代の東南アジア諸国家の国家構造を明らかにし、現在の東南アジアにどうつながっていくのか、世界のほかの地域の国家とどのような点で共通性が見られ、相違点があるのかを考えていきたいと思っています。王権と宗教との関わりで、皆さんがすぐ思い浮かべるのは、エジプトのピラミッドなど、世界各地の巨大遺跡でしょう。東南アジアにも、アンコール・ワット(カンボジア)やボロブドゥール(インドネシア)、パガン(ミャンマー)など、それぞれの国の観光の目玉になるような遺跡がたくさんあります。これらの宗教建造物がどのような意図を持って作られていったのかを考えることによって、それぞれの王国の支配のあり方を明らかにしていっています。

また、それぞれの王朝の経済基盤についても、これまでは、農業に関心が集中していましたが、貿易に立脚する国々が東南アジアには多く存在したことがわかっています。こうした国々の歴史の解明はまだまだ進んでいませんが、一つ一つの国の歴史ではなく、「海域アジア」というより広い観点からそれぞれの地域の歴史を考えていこうという新しい見方が始まっており、そうした観点から、ミャンマーの歴史も見直せないか、いろいろと模索している途中です。

教育者としての私

東南アジアのことを知ってほしい、世界各地には様々な歴史があり現在の社会、文化を作りあげてきたこと、過去に起こったとされる様々な出来事、事象は、過去の人々の遺したどのような痕跡、記録をどのように読み込んでいくことによって明らかになるのか、その明らかになった事柄も本当に事実なのかどうか、を見極める眼を養ってほしい。

これまで中学校や高校で習ってきた世界各地や日本の歴史の様々な出来事や事象が、現在や少し前の私たちが、過去の人々の遺した様々な痕跡(モノや文章の記録)を読み解いて新たに作り出した歴史像にすぎないのだということを理解してほしい。そうやって解釈され再構成された歴史の様々な出来事の多くは、実際に起こった歴史的事実であるが、なかには、解釈の結論が一つではなく人によって様々な読み解きができるものも多く存在することを知ってほしい。

こうしたことを、東南アジア史や海域アジア史、王権と宗教建造物などをテーマとした講義で示しながら、演習では、実際に史料を読んでいくことで、歴史を見る眼を養っていくことになる。歴史は与えられ覚えるものではなく、自分で考え明らかにしていくものだということを実感していってほしい。

私が書いたもの

ミャンマーの歴史については、田村克己・松田正彦編『ミャンマーを知るための60章』(明石書店、2013年)に書いたものを、海域アジアついては、桃木至朗ほか編『海域アジア史研究入門』(岩波書店、2008年)を見てください。また、ミャンマーや歴史の関係項目の編集を担当した桃木至朗ほか編『東南アジアを知る事典』(平凡社、2008年)は、読む辞典として編纂していますので、関心のある項目を読んで、東南アジアのいろんなことを知ってほしいと思います。

専門的なものですと、研究のところで触れた国家構造については、「コンバウン朝ビルマと「近代」世界」齋藤照子編『岩波講座東南アジア史5東南アジア世界の再編』(岩波書店、2001年)、遺跡から見る宗教と国家の関係については、「チャンディ・ボロブドゥールの「語り」」伊藤大輔ほか編『語り出す図像:視覚資料の可能性』(岡山大学文学部、2005年)を読んでみてください。

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