教員一覧

光本 順(みつもと・じゅん)

教育分野(領域)

歴史学・考古学分野(考古学)・学芸員課程担当

研究・教育のキーワード

考古学、博物館学、博物館、学芸員、文化財、ジェンダー、 セクシュアリティ、クィア・スタディーズ、身体表現、弥生~古墳時代

研究者としての私

主な専門分野は考古学(弥生時代~古墳時代)と博物館学です。私は岡山大学文学部で考古学を学び、研究を深めるために同大学院文学研究科(いわゆる修士課程。現在でいう社会文化科学研究科博士前期課程)に進学しました。修士課程修了後に岡大構内遺跡の調査を行う岡山大学埋蔵文化財調査研究センターの助手となりました。助手のころに、せっかく大学にいるので博士号も取得したいと思い立ち、日中の時間はすべて遺跡の発掘や調査研究報告書の作成、展示・公開業務に費やしながら、3年半で博士課程を無事に修了しました。2012年10月から、文学部学芸員課程担当というかたちで所属を変え、現在にいたっています。

文学部あるいは人文学というと、「言葉」を中心とする学問のように思われがちですが、私は学生のころから現在まで「物」の研究に惹かれてきました。考古学も博物館学も、「物」に実際に触れ、観察・記録し、保存するという点では共通点があります。学部1年生のころ、学問の雰囲気を味わいたくて、ひとり図書館で書物を読んでいたこともあります。一方そのうち、大学で行う遺跡の発掘や文化財・博物館巡りなどのおもしろさも知ることになりました。興味のある物(考古資料)や、先生・先輩・同級生・後輩といたった人との出会いは、大学での学びのモチベーションという点でとても重要なものとなりました。

考古学の研究では、主に弥生時代~古墳時代の身体表現に着目した研究(土器や青銅器などに描かれた絵画や埴輪などの造形品、副葬品の配置方法に着目)や古墳の発掘調査に取り組んでいます。またジェンダーやセクシュアリティ、特にクィア・スタディーズやLGBT研究といった複合領域とかかわりながら、現代社会における考古学の意義を考えるきっかけとするとともに、2015年度は文学部で領域横断的共同研究を行っています。

教育者としての私

私は主に学芸員資格にかかわる授業と考古学の卒論・修論指導に携わっています。

学芸員課程プログラム

博物館概論や博物館資料論といった座学や人文系博物館実習という実践を担当しています。学芸員資格は必修科目19単位、選択科目6単位を修得し、卒業すれば得ることができます。学芸員課程で学ぶにあたっては、第一に単位をただそろえるのではなく、個々人がこのプログラムを通じて何を学びたいかを考えてほしいと思います。学外の博物館、すなわち社会の現場に出た学びも特色である人文系博物館実習では、熱意やマナー、事前の体調管理、スケジュール管理も必要になってくるため、モチベーションがなおさら不可欠です。第二に、日頃から「自分で」(人に連れられてではなく)博物館を見学することが大切です。学びを深めると、以前とは異なる博物館のあり方を感じることができるはずです。

学芸員課程の授業で私が心がけていることのひとつは、実物を通じた授業を行う点です。岡山大学には発掘調査によって得た膨大な考古資料の蓄積があります。また津島キャンパス構内には、いわゆる戦争遺跡がひっそりとのこっています。それらを授業でも適宜活用し、展示や資料の取扱いおよび保存・管理といった学芸員に必要な能力を高めたいと思っています。次に、論理的文章を書く機会を設けることも意識しています。学芸員という職は物を扱うだけでなく、展示解説文や図録、ニュースレター等、とにかく文章をよく書く仕事でもあります。しかもその文章は、多くの人が理解可能なように簡潔・明瞭である必要があります。レポート課題は、そのためのトレーニングの点でも大切だと考えています。最後に、プレゼンテーションとディスカッションを授業に随時取り入れるようにしています。企画の構想とその示し方、人との対話力は、学芸員にとって基礎となると考えるからです。

考古学

授業では主に考古学の卒業論文や修士論文の指導に携わっています。ここで私は、考古資料へ真摯に向き合う姿勢や、自分の関心を考古学の学問に沿って展開しうる力を重視しています。その他、授業とは別に古墳の調査研究を行うこともありますので、地域の文化財の歴史を解き明かすために学生のみなさんとともに試行錯誤したいと思います。

私が書いたもの

著書としては『身体表現の考古学』(青木書店、2006年)を出版しました。これは博士学位論文「日本古代の身体表現に関する考古学的研究」を骨子として執筆したものです。弥生時代から古墳時代の様々な身体表現を分析し、日本の考古学ではなじみのなかった身体観の復元に取り組みました。研究してみると、意外と時代や社会の中で身体観が変化することがわかってきました。身体表現の研究は現在も継続しており、近刊の『吉備の弥生時代』(吉備人出版)でも論考(「鹿田遺跡出土線刻人面土器の歴史的位置」)を寄せました。近年の古墳の調査研究については、岡山市津倉古墳(池田動物園の近くの前方後方墳)の測量調査成果概報を2015年に編集・刊行しており、次の学芸員課程ウェブサイトからダウンロード可能です(http://www.okayama-u.ac.jp/user/pmw/project/p1.pdf)。クィア・スタディーズ関係では「クィア考古学の可能性」という論文を『論叢クィア』第2号(2009年)に執筆し、その後も埴輪に基づく事例研究等(例「人物埴輪から探る思想と社会」『季刊考古学』122、雄山閣、2013年)を続けています。また博物館学関連では博物館における LGBT 表象の研究(「ワシントンの博物館展示とマイノリティ」『岡山大学文学部紀要』59、2013年。岡山大学学術レポジトリでも閲覧可能)も行っています。

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