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藤井 和佐(ふじい・わさ)

教育分野(領域)

地理学・社会学・文化人類学・社会文化学分野(社会学)

研究・教育のキーワード

農山漁村、島嶼社会、農林水産業、地域自治、住民組織、生活構造、生活文化、政治参画、女性地域リーダー、社会調査

研究者としての私

高校時代から「ファシズム」に関心があり、心理学からアプローチできないかと考えていたものですから、学部・大学院ともに社会学系の社会心理学の研究室にいました。おもに社会意識論の立場から現代社会にアプローチすることになります。大学院に入った頃は、国際政治をテーマにしようと考えていましたが、日本の政治をまず知らねばと、日本の政治文化の原型(ムラ型・イエ型)を現場からとらえるために、農村・漁村に通いながら、当該地域の歴史的・文化的蓄積に目を向けるようになりました。そのうちに、日本の農山漁村がおかれている状況を捨ておけなくなったのです。

また、大学院では、地域権力構造や地方議員の選挙のあり方をみていたのですが、その視野に「女性」が入っていませんでした。「女性」はどこにいるのかというわけで、女性にも注目するようになり、女性の政治参画も現在にいたるテーマとなっています。

長く農山漁村に入っていますと、「都市化している」というだけではすまない、地域社会のあり方、おおげさに言えば、人が生きていくということの根幹がゆらいでいるのではないかと思える変化を感じます。個々人の生き方の選択をも左右する社会のあり方にせまるのが社会学ですから、それを草の根的に地域社会レベルで考えようというわけです。

これまでのおもな調査研究フィールドは、三重県、兵庫県、岡山県、広島県、愛媛県、沖縄県、そして長野県にあります。近年は宮城県と北海道の農山漁村にも入りはじめました。

私は、農業、林業、漁業が基層にある社会が、そこに生きる人びとの生活を支えつづけると考えています。そのために現地に赴き、直接、住民の皆さんにお話をうかがうという手法をとっています。想像以上の展開にびっくりすることも、頭で考えていた理想が打ち砕かれることもあります。そこからが研究者としての正念場。人と話すことが得意ではないのですが、現地の皆さんのご協力に報いねばと重い腰をあげています。

教育者としての私

大学においては、知識は自ら得るものであって、その「知識」へのアプローチの仕方、つまり対象をどうとらえたらいいのかという、考え方を身につけてほしいと思っています。講義内容に疑問をもつことや新たな問いを発見するのが大事なので、授業すべてに言えるのは、履修態度として受動的であるということは考えられないということです。さらに、教育とは学生の皆さんにたいする「挑発」です。教員が投げかける言葉のひとつひとつを自身の成長につなげてほしい、自分の考えを深めるきっかけにしてほしいと思っています。

社会に出てから必要とされる能力のひとつに「課題解決力」が言われます。地域のお年寄りが、イベントをやりたくても人がいなくてできないとおっしゃったとしたら、どうしますか。そのイベントを自分たちで開催することだけが解決ではありません。なぜ、イベントができない状況になったのかを考え、それに答えを見出せたときが解決のときです。それが学問の力であり、生きる力。理論的背景のある実践力を身につけられるよう、指導しています。
研究・教育の詳細は、http://www.okayama-u.ac.jp/user/shabun/home/index.htmlを参照してください。

私が書いたもの

『成熟地方都市の形成―丹波篠山にみる「地域力」』(福村出版、2015 年、杉本久未子との 共編著):15 年程前から研究仲間とともに兵庫県篠山市の「地域力」をとらえるための調査 研究を進めてきました。その成果です。なかで、「『成熟地方都市論』に向けて」と「村落的 共同性と地域社会」、そしてコラム「『農都』篠山の黒豆」を書いています。おもに自治会長 への聞きとり調査の結果にもとづき、山を財とする農村文化に彩られた集落の「共同性」維 持のあり方と、その意味・課題を明らかにしています。

『変貌する沖縄離島社会―八重山にみる地域「自治」』(ナカニシヤ出版、2012 年、杉本久 未子との共編著):10 年以上前から沖縄県八重山地方の島々をほぼ毎年訪問しています。い くつかの研究テーマをかかえていますが、とくに地域自治について研究仲間とまとめた本で す。なかで「八重山地域の概要」と「生業保障の地域展開~小浜島漁業集落の事例~」を書 いています。旅行にもお薦めの島です。訪問を始めた頃、内地で就職していた後継世代が、 今では U ターンして漁業と地域を継ぎ、一児の父親になっています。

『農村女性の社会学―地域づくりの男女共同参画』(昭和堂、2011 年):女性地域リーダー のあり方とキャリア形成について政治文化論的アプローチによって明らかにしたものです。 いくつかの事例を取りあげるなかで、女性の農業委員数全国 1 位をたもっている長野県につ いては、10 年以上前から現在も調査研究をつづけています。農村女性の生きざまを聞きとり していると、自分が励まされている気分になります。

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